医者でもある筆者が、歴代徳川将軍の健康状態やその死因について史料に基づき科学的な解明を試みた本。9代将軍家重と13代将軍家定がアテトーゼ型の脳性麻痺であったことはよく知られた事実だ。
この本の中で特に面白いと感じたのは歴代将軍の身長で、おしなべどの将軍も身長が低かったのには驚いた。
ほとんどが160cm以下の身長で、とくに5代将軍徳川綱吉にいたってはなんと推定130cmたらず!ととびきりの低身長だったようだ。
なんらかの内分泌異常による成長障害があったと推測されるようだが、それにしても、徳川綱吉といえば、「元禄時代」、「生類憐みの令」、「赤穂浪士」、など多くのキーワードが思いつく特によく知られた将軍で、TVや映画でもよく取り上げられるキャラクターなだけにその実像とのギャップに驚かされる。
江戸城本丸大広間で行われた諸大名との公式の謁見儀式などの光景はどのようなものだったのだろう。
さらにいえば、歴代将軍の中でも大柄な将軍として知られ、「暴れん坊将軍」の名で有名な8代将軍吉宗も、推定155cmと現代の感覚から言えばやはり小柄だったようだ。
我々現代人が江戸時代にタイムトラベルしたら、なんとも不思議な気分になるのだろう。